咳喘息(せきぜんそく)と同じく、乾いた咳(せき)がつづきます。
咳喘息(せきぜんそく)との違いは、アレルギーの関与が大きいことです。
アトピー咳嗽も咳喘息(せきぜんそく)と同様、気道に炎症が起こって咳(せき)が出ますが、ぜんそくのような発作を起こすことはありません。
アレルギーの関与が大きく、アレルギー性鼻炎や花粉症などアレルギーの病気をもつ人や過去にかかったことがある人では、アトピー咳嗽が疑われます。
乾いた咳(せき)が出るとともに、のどにイガイガ感を感じたり、痰(たん)がのどにひっつくような感じがします。
咳(せき)は、異物が気道に入ったときに、それを外に出そうとして起こる体の防御反応です。しかし、気道の炎症によって咳(せき)の反射が過敏になると、必要がないときにもせき込んでしまいます。これがアトピー咳嗽の咳(せき)です。
花粉症の治療などに使われるアレルギーの薬(ヒスタミン受容体拮抗薬)が有効です。
気道の炎症をおさえるために、吸入ステロイド薬を使うこともあります。
アトピー咳嗽は咳喘息(せきぜんそく)と症状が似ていますが、こちらは気管支拡張薬が効かないので、気管支拡張薬で咳(せき)がおさまるかどうかで、どちらの病気かわかります。
また、咳喘息(せきぜんそく)は典型的なぜんそくになることがあるため吸入ステロイド薬をしばらくつづけることがありますが、アトピー咳嗽は咳(せき)がおさまれば治療も終わりです。
主な原因は「タバコ」。60 歳以上の人に多い病気です。
わかっているけど…から卒業して、禁煙を。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、タバコの煙などの有害なガスを長年にわたって吸い込むことによって、空気の通り道である気道(気管支)がせまくなったり、気道の先端にある肺胞※がこわれてしまう病気です。そのため、酸素を吸って二酸化炭素を出す「ガス交換」の効率が悪くなり、息切れが起こります。
COPD の進行はゆっくりですが、一度こわれた肺胞はもとに戻りません。
※肺胞:酸素と二酸化炭素の交換を行うところ。
COPD は、咳(せき)や痰(たん)とともに、体を動かしたときの息切れが特徴です。階段や坂道を上ったりすると息苦しくなります。
しかし、このような症状があらわれるのは、COPD がある程度進行してから。自分では気がつかないうちに肺の障害は進んでいるのです。
COPD が疑われるときは、スパイロメーターという機器を使って、肺の機能がどの程度保たれているかを調べます。
タバコを吸っている人は、まず禁煙です。
加えて、咳(せき)や息切れを軽くするために、効果が長くつづくタイプの気管支拡張薬を使います。
COPD が進行すると、薬物療法だけでなく呼吸リハビリテーションや在宅酸素療法(機械を使って、自宅で酸素を吸入する治療法)が必要になります。
むずかしい名前ですが、鼻と気管支(気道の細い部分)の
両方に炎症が起きて、湿った咳(せき)がつづく病気です。
鼻から吸い込んだ空気が通る道を「鼻腔(びくう)」といい、鼻腔はそのまま気道へとつながっています。
「副鼻腔」は鼻腔に接して左右と後方に広がった空洞です。
「副鼻腔気管支症候群」は、慢性の気管支の病気と慢性副鼻腔炎※(副鼻腔の炎症)を同時にわずらった状態です。
※蓄膿症(ちくのうしょう)の正式名称
ゴホゴホという湿った感じの咳(せき)や、黄色?緑色で粘り気のある痰(たん)が出ます。
また、鼻水が出たり、鼻水がのどの方に落ちて, いつも痰がからんだような感じがして、咳(せき)払いをしたくなります。
痰を切る薬や「マクロライド」と呼ばれる種類の抗菌薬などを服用します。
「胃や食道の病気で咳(せき)?」と思うかもしれませんが、
実は関係があるのです。
「胃食道逆流症」は、胃から食道へ胃酸が逆流する病気です。
加齢、食事の内容、肥満、体型などによって、食道と胃のつなぎ目でバルブのような働きをしている下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)のしまりが悪くなったり、胃酸が増えすぎることによって起こります。
胃食道逆流症の症状はさまざまで、主な症状は胸やけや呑酸(どんさん:すっぱい液体が口まで上がってくる)ですが、人によってはしめつけられるような胸の痛み、咳(せき)、のどの違和感などもあらわれます。
逆流した胃液がのどや気管支を刺激したり、食道の粘膜を通して神経を刺激することによって咳(せき)が出ると考えられています。
また、逆流した胃液で、のどに炎症が起きると、違和感や痛みを感じます。
胃酸の分泌をおさえる薬(プロトンポンプインヒビター、ヒスタミンH2 受容体拮抗薬)や、低下した胃の運動を活発にする薬(消化管運動賦活薬)などを使います。
こうした薬で胃酸の逆流を防ぐと咳(せき)もおさまります。
かぜなどの感染症による咳(せき)は、
時間とともにおさまるのが普通ですが、ときに長引くことがあります。
通常、感染症による咳(せき)は自然におさまりますが、かぜ(普通感冒)の原因となる数種のウイルスや肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミジア、百日咳菌などに感染すると、咳(せき)が長引くことがあります。
肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミジア、百日咳菌の感染は、家族内や学校・職場など小集団で流行がみられるのが特徴です。
はじめは痰(たん)がからむような咳(せき)が出ますが、長引くにつれて痰がからまないようになり、いわゆる乾いた咳(せき)に変化します。
ときに痰が出ることもあります。
咳(せき)の程度はさまざまで、肺炎マイコプラズマや百日咳ではがんこな強い咳(せき)が出て、よく眠れないこともあります。
肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミジア、百日咳菌の感染が疑われる場合は、早期に適切な抗菌薬の服用が必要です。
普通感冒の咳(せき)はとくに治療をしなくても時間がたつとおさまりますが、咳(せき)が激しいときは必要に応じて咳(せき)止め(鎮咳薬;ちんがいやく)などを服用します。
Abbott せき辞典
「せき辞典」は, 咳(せき)などのつらい呼吸器症状に悩んでいる患者さんやご家族のための情報が詰まったサイトです。咳(せき)を主な症状とする3つの病気「大人のぜんそく」「子どものぜんそく」「COPD」についてご紹介しています。こちらもぜひ、ご覧ください。
長引く咳(せき)の治療には内服薬だけでなく、専用の器具を使って薬剤を吸う吸入薬や、
皮膚から薬剤を吸収させる貼付薬が使われます。
薬を霧状のガスや非常に細かいパウダーにしたものを専用の器具(吸入器)を使って吸い込みます。
薬が気道に直接届くので効果が高く、反対に気道以外の臓器には薬が届きにくいことから、副作用を減らすことができます。
薬を含んだテープで、胸、背中、腕などに貼って使う薬です。
薬が皮膚から血液に入り、血液をめぐって気道に運ばれるため、肺のすみずみにまで薬が送り届けられます。
使い方が簡単で、子どもやお年寄りにも好まれます。
○薬の使い方や使用回数については、医師・薬剤師の指示を必ず守りましょう。
○咳(せき)がなくなっても自分の判断で薬をやめず、指示された通りにつづけましょう。